日本、10月にも新設の国際刑事裁判所に加盟
2007年5月2日、ロイター(国連)
著: Evelyn Leopold
(※原文はこの記事の題名をクリック)
日本は、新設の国際刑事裁判所(ICC)に10月に加盟する予定であることがわかった。一部の賛同国は、同裁判所が管轄する人道に対する罪に、核戦争を含めるべきだと主張している。
長崎選出の参議院議員犬塚直史は2日、数年に及ぶ自身のICCへの取り組みについてロイターのインタビューに応じ、日本が国際刑事裁判所ローマ規程の批准を承認したことについて、戦後処理問題に触れながら、次のように述べた。
「我が国が人道的な問題に関心があることを示すにはいいタイミングだった」
今年4月27日、日本の国会の上院(参議院)は、同年2月に法案の提出が閣議決定されたのを受け、ICC条約への加入を全会一致で認めた。二次大戦後にナチスの指導者を裁いたニュルンベルグ裁判や極東軍事裁判を思い起こさせる国際人道上凶悪な犯罪を裁く史上初の常設国際刑事法廷を設立する1998年のローマ規程には、現在104カ国が批准している。
ICCの批准推進に尽力した、全世界117の議会の1,200名の議員から構成されるPGA(地球規模問題に取組む国際議員連盟)日本支部の事務局長でもある犬塚は、国連への批准書の寄託から批准法の公布までの工程が本年10月1日までに完了する見込みであると語る。
犬塚は、第二次世界大戦後の戦犯法廷における数百万頁に及ぶ記録の中で、太平洋戦争の終戦間際にアメリカが広島と長崎に投下した原爆に関する記述は「1つもない」と憤る。同時に、「2009年には、人道に対する罪として(核戦争を)加えたいと思うが、我が国はまだ国際的に十分な信頼を得ていない」とも漏らす。とくに最近の慰安婦問題を巡る国際的な確執は、マイナスでしかないと彼は言う。
先月、日本の安倍首相が、旧日本軍による性的奉仕の強制が行われた証拠はないと表明したことで、アジアとアメリカの国民は激しい怒りに包まれた。3月16日、安倍首相の表明は、閣議で政府の公式見解として承認された。
このような中でも、日本のICC批准がアジアにとって重要な意味を持つことに変わりはない。日本は最大の拠出国として、発足間もない同法廷の経済的な基盤を支えることになるからだ。犬塚によれば、その負担率は16%に及ぶ。
ICCへのアジアからの参加は極端に少ない。とくに中国やインドといった大国はほとんど関心を示していないといわれる。アメリカのブッシュ政権は、ICCに対する強硬なまでの反対姿勢を示す一方、スーダンの事態を国連安全保障理事会に付託する件については反対しなかった。
ICC設立の推進役となったドイツに比べ、1998年のローマ会議では積極的な役割を果たしつつも、日本は長年、ICCに関わろうとしてこなかった。専門家によれば、その一因として考えられるのが、1946年~1948年の間、連合軍によって設置・運営された国際戦犯法廷の政治的正当性に対する疑問だという。同法廷では、最も責任があると思われる戦犯が訴追を逃れ、その後も権力の座に復帰していた。天皇も戦争責任を問われていない。
今回日本ではICCに対する確固たる反対の声はほとんど上がらなかったという。最大の障害は条約自体ではなく「政治的意志の欠如」であり、議員の多くがこの問題に時間を割く熱意を持たなかったことだ、と犬塚は述懐する。
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