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2010年6月7日月曜日

UNEPS総合資料集Ⅲ





United Nations Emergency Peace Service
国連緊急平和部隊 (UNEPS)

国連緊急平和部隊(UNEPS)は、個人の自由意思による参加を認める個人派遣の「国連平和部隊」であり、従来の国連PKOとは 多くの点で異なります。しかし、一般には、UNEPSや国連PKOの実態について誤解が多く見受けられるようです。UNEPSは、民主党小沢代表が提唱す る「国連待機軍構想」とも異なる、まったく新しいアイディアです。以下は、当事務所が推進するそのUNEPS構想に関する基本的な解説資料を、国内で初め て総合的にまとめたものです。

『UNEPS』犬塚事務所が取り組む『内政と 外交をつなげる人間の安全保障プロジェクト』の1つです。
WHAT'S NEW
2. ソマリア海賊対策 書庫を設置しました。
3. UNEPS総合資料集Ⅰ(2007~2008年度)がアーカイブとなりました。
4. UNEPS総合資料集Ⅱ(2009年度)がアーカイブとなりました。 NEW


■NEWS:国内外の最新の動き(2010年度)

■資料:関連資料

■賛同:国内外の賛同の声

■政策:犬塚直史の捉え方


■解説:シリーズ『国連待機軍構想とは別』
(上) ◇国連PKOの実態とUNEPSの任務
(中) ◇UNEPSの想定要員数は妥当、◇UNEPSと自衛隊の相互運用は合憲
(下) ◇基地提供は憲法違反に当たるか、◇結論:UNEPSは日本の国益に合致している
資料: 小沢代表の「国連待機軍」構想(03年度)(上) (下)

■FAQ:よく訊かれる質問

■統計:UNEPS・PKO等に関する国際統計
2010.06.07更新 

2007年6月19日火曜日

FAQ:UNEPSに関してよく訊かれる7つの質問

1. UNEPSの人員はどのようにして召集され、またどのように構成されるのか。

UNEPS (国連緊急平和部隊)の要員には、任意で参加を希望する世界各国の個人が召集されます。これにより、アドホック(一時的)な形で部隊を召集する際に、国連加盟国が国内の部隊の 派遣を躊躇(ちゅうちょ)することにより生じる遅れがなくなります。部隊は15,000~18,000人の要員からなり、文民、警察、司法、軍および救援 の専門家などがこれに含まれます。これにより、平和維持および平和執行に必要な要素が、すべて派遣部隊に含まれることになります。

2. UNEPSを派遣する判断は誰が行うのか。


UNEPSの派遣を承認するに最も相応しく、また最も承認を行う可能性が高いと考えられる機関は、国連の安全保障理事会(安保理です。安保理は、国連憲章により、派遣の正当な理由として適用される介入基準(threshold criteria)[1]を判断する機関としても最も正当な権限を与えられているからです。

ただし、拒否権などにより安保理が行動できない場合に備え、代替となる権限代行者も検討しておく必要があるでしょう。安保理のそれに次ぐ正当性と権限を持ちうる手段としては、2つの機関による行動が考えられます。1つは、国連総会による1950年の『平和の為の結集決議』(Uniting for Peace Resolution)に基づく承認[2]、もう1つは、地域国際機関による同機関加盟国に対する介入の承認です。勿論、紛争が係る地域国際機関の加盟国の主権侵害に及ぶ場合は、係る地域国際機関の非加盟国に対する介入も、1つの有効なオプションとして想定できます。

またもう1つの選択肢として、国連安保理もしくは国連総会によって厳格に事前定義された条件に基づき、国連事務総長権限によりUNEPSの派遣を認めることが考えられます。このような判断に基づきUNEPSの派遣が実行された場合、安保理は通常の投票手続きにより決議を行い、UNEPSを退却させる権限を保持します。

3. UNEPSの介入先となる国家がUNEPSによる介入を拒否した場合はどうなるのか。

常設の中立なUNEPS のような部隊が派遣される場合に、その介入を拒否する可能性よりは承諾する可能性が高いと考えられますが、国連憲章第7章の発動により、国家に対し強制的 に介入が行われる場合も想定されます。このような場合でも、UNEPSはその活動を行うにあたり、非公式に対象国(とくに対象地域の住民)の承諾を得るべ きでしょう。なぜならUNEPSの派遣目的はそもそも、国内の沈静化と法の秩序の回復・確立により、地元住民の社会経済的ニーズを満たすことにあるからで す。

4. UNEPSの任務範囲はどのように定められるのか。たとえば、人権に直接関らない自然災害からの救援支援活動なども含まれるのか。

UNEPSは1本の指揮系統の下に、多岐にわたる国連の活動の中で複数の機能を果たすことのできる専門要員が配置された専門の部隊です。すなわち、指揮系統の乱れや、機能の過度な分断、専任要員の分散も想定されません。

フィールド上の各チームは、それぞれ安全を確保し、紛争を緩和し、その活動範囲内の法の秩序を回復するとともに、人道的ニーズにも対応することを可能にする多様な機能とキャパシティを保持します。たとえば、UNEPS は大量殺戮を防ぐために文民保護チームを派遣することも、地元での治安維持のため、あるいは地元で人道支援活動を行っている主体を保護するために警察チー ムや災害救援チームを派遣することもできます。またUNEPSは必要に応じて、オンサイトでの事実検証や人道的危機にある文民を保護する為の迅速な対応行 動や、戦争犯罪や人道支援ニーズ、平和構築活動の迅速案展開の為の情報収集などを実施することも可能です。

さらにUNESPには、地元の警察の訓練や監視を行うチーム、紛争の調停・和解を促進するチーム、そして、環境や自然災害による被害から人道的危機に発展しているにも係らず、対象国政府に対応する能力あるいは意志がない場合に介入を行うチームなどが存在します。


特例として、環境事故や自然災害に対応する能力を与えられる場合もありますが、それは多くの人命が失われる可能性が非常に高く、かつ当該国の政府および自治体が人道的危機を回避する能力あるいは意志を有しない場合にのみです。UNEPSは基本的に、多くの人命が失われるリスクが顕在化したときにのみ派遣されます。

5. 事態がジェノサイド(大量殺害)や人道に対する罪が犯されている域(危険水域)に達しているという判断は誰が下すのか。

事態がジェノサイド、戦争犯罪、あるいは人道に対する罪が犯されている危険水域に達しているか否かの判断権は、基本的に派遣を決定した権限執行者(機関)に帰属します。このとき、ジェノサイド防止に関する国連事務総長特別顧問や、平和構築委員会、安保理の情報源、人権保護団体および加盟国の情報機関からの情報など、多岐に渡った情報が検討されます。

6. 予防的派遣の可能性は想定されるか。

安保理、国連総会、もしくはその他の権限執行者(機関)により、深刻な人道的危機が存在すると確認された場合は、UNEPSを派遣できます。UNEPS派遣の大前提は、過度な強制を行うのを防ぐ「最終手段」[3]として適用されることですが、それは必ずしもあらゆる手段が講じられ失敗した後に適用される手段という意味ではありません。

た とえば、ジェノサイドが行われている状況で、国際法の強制のために、正当な権限を与えられた個人要員が警察的機能を果たさなければならない場合、当面の目 標は、大量殺戮が起きる前により早期に問題の対処に当たることにあります。実際に起きていないジェノサイドに備えるために警察チームや紛争スペシャリスト を早期派遣することは、後に想定される大規模な戦闘を回避するための有効な措置となり得るでしょう。


実 際に、後になってみれば小規模な緊急部隊では対応しきれない規模の紛争であっても、紛争の早期の段階で予防的対応を実施できれば、効果的にこれを沈静 化・抑制できる可能性があります。近年、各国政府は、早期の予防的対応が、紛争が悪化・拡大した後に大規模な対応を行うのに比べ、いかにより効果的かつ負 担軽減に役立つかを理解しはじめています。

7. UNEPSは既存の国連あるいは地域的機関の平和活動と競合する立場にあるのかそれとも置き換わる立場にあるのか。

UNEPS 構想は、国連、地域的機関、あるいは国家による既存の国際平和活動や拡大されたこれら一連の活動を補完はしても、置き換わりはしません。武力紛争や深刻な 人権侵害による被害から人々を有効に保護する為には、ときにはUNEPS構想が想定する程度の規模では足りない可能性があります。したがって、既存の機 構・機関は依然として必要となります。


また、平和構築は通常、長期的かつ持続的な活動を伴うため、長期的にジェノサイドや人道に対する罪などを予防するには、国連システム全体、ならびに国家および地域アクターなどの補完的な働きなど、広範な協力が必要となります。UNEPS構想は、危機に対する初動的対応(“first in, first out”)構想と位置づけることができます。


UNEPS は、他の国連の活動と緊密に連携して運用され、他の機関に対しては主に補完的な役割を果たし、ときには補助的な役割も果たします。たとえば、文民警察の訓 練や監視のため、国連の諸機関が到着した後に要員を継続して派遣する場合などが想定できます。これは、事態がUNEPSでは対応しきれない規模、あるいは 長期に渡ることが想定できる場合などに考えられます。


UNEPS は、国際人道法および人権法に従って模範的な行動を行う絶対的な責任を持ちます。したがって、高い透明性の確保やオンブズマン制度の運用、および負傷者の 法的救済のための苦情処理制度などの整備が必須となります。権限あるいは作戦運用において法的問題が生じた場合、これらの事態は、それぞれの案件の法的要 件に応じて、国際刑事裁判所(ICC)や国際司法裁判所(ICJ)、あるいはその他の適時に存在するもしくは設置される国際法廷に付託されるべきでしょ う。


出典:『A few UNEPS Frequently Asked Questions』

作成:Global Action to Prevent War and Armed Conflicts

翻訳:参議院議員・犬塚直史事務所 勝見貴弘


☆★緊急アンケート!★
FAQを読んだ感想はいかかですか?(Yahoo!IDが必要です)



[1] 「保護する責任」の介入原則については、ここを参照。 

[2] 1950年の国連総会決議377─ 国際平和と安全に対する脅威、平和に対する侵害、若しくは侵略行為が依然として存在するときに、国連安全保障理事会が拒否権のため国際平和と安全を維持す る責任を遂行できない時に、加盟国の要請により国連総会が緊急特別総会を召集して、武力行使も含めた集団的行動に関する勧告を行うことができる制度。

[3] 最終手段(Last Resort)は、交渉、停戦監視、仲介など、あらゆる外交的手段、平和的手段、および非軍事的手段を追求したうえで、それでも成功しないと考えられる合理的な根拠があって初めてとられる手段でなければならない。(介入と国家主権に関する国際委員会報告書『保護する責任』)で採用された介入5原則より)

2007年6月12日火曜日

憲法九条を生かす具体案としてのUNEPS

国連緊急平和サービス(UN Emergency Peace Service:以下、UNEPS)構想の推進は、憲法九条改正への具体的な対案としての提示です。

■国際的な構想

この構想は私ども独自のものではありません。PKOの裏表を熟知する「PKOの父」と謳われた元国連事務次長による提案であり、その提案を受けて構想を推し進めようと考えたCSO(NGO・NPOを含む市民社会組織の総称)、そしてこの構想に賛同する米議会議員らにより、常に進化し続けている構想です。

また、この構想の世界における最新の状況を確認すべく、私どもは今年5月に実際にアメリカに渡り、米CSOらと協議を行い、これから日本でどのようにこの構想を推進するかを具体的に話し合ってきました。また、この構想を単に日米間のものにしないために、ドイツなど日本と事情の近い国々の議員とも近々この構想の実現性・相互協力の可能性について協議を行う予定でおります。

■構想のバックボーン

この構想のバックボーンには、単に国連の著名な人物による提唱であるということでなく、国連の組織の中で、事務総長に対する報告書として提示された、カナダ政府主導の国際委員会ICISS (※参考資料5)による成果文書『保護する責任』報告書(※参考資料1,2,3)に基づいて進められているという事実があります。

UNEPS 構想とこの「保護する責任」(Responsibility to Protect:以下、R2P)は必ずしも同時期に発生した考え方ではないのですが、近年これら別個の考え方が融合し始めており、関係者の間では一体化された形として二つの構想が進化を遂げているのです。

このR2Pの理念については、日本政府は、軍事的介入も“含まれる”オプションであることから慎重な態度をとり続けています。以下のWikipediaのエントリ(参考資料6)にもあるように、R2Pの理念は、その上位理念である「人間の安全保障」(Human Security:HS)の考え方から派生したものですが、日本政府はこのHSの理念について積極的に推進しつつも、R2Pという軍事的介入が含まれる介入オプションについては非常に慎重です(※ 参考資料4)

■日本の平和構築外交の基軸政策としての立案

しかし、R2P の理念をバックボーンに成長・発展してきたUNEPS構想は、従来の国家による軍事的介入とはまったく性格が違うのです。そこを強調して、私たちはこの構想を九条改正の対立軸と提示し、議員立法によりこの構想の有効性を国会で認めさせ、推進してく積もりでいるのです。そのために、勉強会を重ね、各国有識者を招いて懇談会を行い、政府関係各省庁を説得し、日本の平和構築外交の基軸(九条改正ロジックに対する対立軸)にしようと、具体的に動こうとしているのです。

私どもは、UNEPS構想を実現性の高い構想として受け止め、現実性のあるものとして政策立案を行っていく構えです。

 参考資料: