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ソマリアの海賊たちの5つの活動拠点(画像をクリックすると拡大されます)
16日(火曜)の参議院外交防衛委員会では、日本独自の海賊対処法である『海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案』を議題に、参考人質疑が行われた。4人の参考人の一人として、現在東京外国語大学大学院に籍を置くデズモンド・J・マロイ氏(Demond J. Molloy)が国連の紛争予防の専門家として呼ばれた。マロイ氏は委員会の各面々に対し、より「頭脳的なアプローチ」を模索すべきだと提案。デファクト破綻国家ソマリアに端を発する海賊問題については、まったく別の取組み方が必要であると説いた。
マロイ氏は陳述の中で、現在各国が展開中の国際対策部隊について、持続可能な取組みではなく、また費用対効果も少ないと評価。 「応急的な措置」に延々と取り組むよりも、情報収集と警察活動を効果的に行うほうが「より大きな効果が望める」とした。また、現行の作戦では「モグラ叩き」(英語ではcockroach effect)のように、一カ所で叩きのめしても、全体で場所を移動するだけで有効な解決策にはなり得ないとし、海賊対処法案の起草に当たっては次の一連の提言を検討することを委員らに勧めた。
- 海賊行為にかかわる主要なアクターたちの慎重なマッピング(把握)
- 国連及び西側諸国による主要な加害者たち(軍閥指導者等)の刑事訴追
- 氏族等により不法に蓄積された海外資産の没収(ほとんどの主要な氏族は二重国籍のため資産は西側諸国に置かれている)
- ソマリア領海内における魚資源の略奪と不法投棄に対する国際社会の認知と、これら不法な活動にかかわる者に対する制裁の実施
- SAACID等のイシュー指向の市民団体に対する投資を通じたコミュニティの能力開発によるコミュニティ・ベース補償の実施
各委員らは、日本の対策部隊への参加が短期的対応としても実効性があるもなのかどうか、またマラッカ海峡でのRECAAP(アジア対策地域協力協定)の成功などをどのように生かし、最大化していくかなどについて議論を交わした。RECAAPは日本の海上保安庁が先導して創設したイニシアチブであるが、参考人の一部からは、長期に及ぶ取組になるが「ソマリア版RECAAP」の創設を検討することも必要ではないかという意見があった。